なぜ情報漏洩はこんなに増えた?AIの関わりと自分の守り方

ブラインド越しの光と影が落ちる静かな部屋(情報を守る緊張感) 個人情報・セキュリティ

企業の個人情報が漏れたというニュースが、連日流れてきます、、。
自分の名前やカード情報がどこかで漏れているかもしれないと考えると、ちょっと不安になりますね。

急に増えすぎじゃない?と思った方も、多いのではないでしょうか。
私も思いました(笑)

なので、なぜ今、急に増えているのか、AIはどのように関わっているのかを調べてみました。全部AIのせい——というわけでもなく、かといって無関係でもない。その”ちょうどいい正しさ”を、煽らずに共有します。

「AIが盗んでる」は、ちょっと違う

まず、ありがちな誤解から。

相次ぐ流出って、AIが勝手に情報を抜き取った……わけではないんですね。入口になっているのは、企業のシステムやデータベースへの不正アクセス。つまり、AI登場より前からある、昔ながらのサイバー攻撃です。設定ミスや、古いソフトの穴を突かれる。ここはずっと昔からある話なので、「AIが盗んだ」はちょっと言いすぎなんですね。

「○○社から△万件流出」と聞くと、つい最新技術のせいに感じます。でも中身は、守りが甘いところを突かれた、わりと古典的な攻撃だったりします。

じゃあAIは無関係なの?というと——そこがそうでもないんですよ。本題はここから。

情報流出が急増する理由と、AIが攻撃強化とシャドーAIの二面で関わることを整理した図

でも、AIは二つの形で関わっている

ここが、この記事でいちばん伝えたいところ。AIは「盗む主役」ではないけれど、裏で二つの形で効いています。

① ハッカーがAIを使うと、攻撃が”速く・多く・自動”になる

まず押さえたいのが、侵入する側がAIを使い始めた、という事実です。流出が増えて見える裏には、これがあります。

AIは、企業のシステムの”穴”(脆弱性)を調べる作業や、そこを突く攻撃コードを作る作業を高速化します。さらに、犯罪者向けに作られたAIも出回っていて、攻撃の”参入障壁”がぐっと下がっている。昔は高い技術が要ったことを、少ない手間でできてしまう人が増えた、ということです。

スピードもすごい。セキュリティ企業のCrowdStrikeは、2025年の調査で、侵入してから社内に広がる(=重要データへたどり着く)までの平均が29分、最短だとなんと27秒だったと報告しています。27秒って、コーヒーを淹れる前ですよね……。人が「なんか変だぞ」と気づくより先に、情報は抜かれているわけです。

研究レベルでは、もっと先の話も出ています。生成AIアプリを狙う自己複製する指示文「Morris II」の研究や、攻撃の工程の大部分をAIが自分で進めたとされるキャンペーンの報告など。”半分自動”で攻撃が回る未来が、ちらほら見え始めています。

ただ——ここは正直に言っておきたいところ。これらは「AIさえあれば誰でも確実に企業へ侵入できる」という意味ではありません。そんな魔法ではない。本質は、攻撃の「速度」「試行回数」「自動化」が上がったこと。つまり、下手な鉄砲も数と速さが段違いになった、というイメージです。だから件数が増えて見える。ここが、一つ目の正体です。

② もう一つは、社内から”うっかり”漏れる(シャドーAI)

攻撃だけが原因じゃないのが、やっかいなところ。実は、内側からポロッと漏れるルートも増えています。しかもこっちは、私たちにすごく身近な話。

たとえば、便利だからと、顧客リストや社外秘の資料を生成AIに貼って作業する。会社が許可していないAIツールを、こっそり仕事で使う。これ、「シャドーAI」と呼ばれます。隠れて(シャドー)使うAI、という意味ですね。

悪気はないんですよね。「ちょっと要約させたいだけ」「このメール、丁寧に直したいだけ」。でも、そこに会社の情報が入っていたら、自分が気づかないうちに情報を外へ出していることになる。あるデータでは、シャドーAIが原因の漏えいを経験した組織は約2割にのぼり、漏れたときの被害コストも大きく膨らんだと報告されています(※出典は末尾)。

外から破られる(①)だけでなく、内から出ていく(②)。AIが当たり前になったぶん、この”新しい漏れ道”に、誰もがうっかり足を踏み入れうる。だからこそ、次に話す自衛策は、「守る」と「漏らさない」の両方が大事になります。

なぜ今、急に増えて”見える”のか

ここまでをふまえると、背景はシンプルです。

攻撃する側は、AIで速く・多く・自動になった(①)。社内からは、シャドーAIという新しい漏れ道が増えた(②)。そこに、個人情報そのものの”価値”が上がっている事情も重なります。盗んだデータは、別の攻撃や詐欺の”材料”として売り買いされるからです。

攻めやすくなって、漏れ道が増えて、盗む動機も大きい。条件がそろってしまった——これが、「最近やたら多いな」の正体です。逆に言えば、原因がわかれば、打てる手も見えてきます。

非エンジニアが今日からやる自衛策

「企業が漏らすなら、個人にできることなんて無いのでは?」と思うかもしれません。でも、あります。しかも、むずかしくない。狙われても”被害を最小にする”ための4つです。

① パスワードの使い回しをやめる(これが一番効く)

正直、これが最強の自衛策です。
なぜかというと——どこかの企業から流出したメアドとパスワードの組み合わせは、他のサービスでも試されるからです(使い回していると、芋づる式にやられる)。逆に、サービスごとにパスワードが違えば、1か所漏れても被害はそこで止まります。

「全部覚えるなんて無理」という人は、パスワード管理アプリに任せればOK。ブラウザやスマホの標準機能でも十分始められます。

② 2段階認証を入れる

パスワードが漏れても、もう一つの鍵(スマホの確認コードなど)があれば、簡単にはログインされません。
メール・SNS・ネット銀行など、大事なものから順にオンに。設定画面で「2段階認証」「二要素認証」を探すだけ。5分の手間で、守りが段違いになります。

③ 自分の情報が漏れていないか、”確認”する

自衛策のなかで、意外と見落とされがちなのがこれ。まず現状を知る、です。
流出って、企業が公表するまでにタイムラグがあることも多い。だから「知らないうちに、もう出回っている」が普通に起きます。まずは、自分が今どうなのかを確かめましょう。方法は大きく3つ。

(1) メールアドレスで、一括チェックする
自分のメアドが過去の流出に含まれていないかを、無料で調べられるサービスがあります。有名なのが「Have I Been Pwned(ハブ・アイ・ビーン・プーンド)」。
使い方はかんたんで、サイトにメールアドレスを入れるだけ。すると、「このメアドは、過去の◯◯という流出に含まれています」と一覧で教えてくれます。英語のサイトですが、やることはメアドを打つだけなので、身構えなくて大丈夫。通知機能に登録しておけば、今後また漏れたときにメールで知らせてくれます。

(2) 保存したパスワードを、自動で点検してもらう
普段ブラウザやスマホにパスワードを保存している人は、もっとラクな方法があります。
・Googleアカウントなら「パスワードチェックアップ」。保存済みのパスワードのうち、流出したもの・使い回しているもの・弱いものをまとめて教えてくれます。
・iPhoneなら〔設定 → パスワード〕に、「漏洩した可能性のあるパスワード」という警告が出ます。
どちらも、危ないものを名指しで教えてくれるので、見つけ次第そこから直せばOK。

(3) カード・お金まわりは、明細で見張る
カード情報の流出でこわいのは、不正利用。利用明細を月イチでチェックして、身に覚えのない請求がないか見るクセをつけましょう。少額の”お試し不正利用”から始まることもあるので、小さな金額も見逃さないのがコツです。

で、引っかかっていたら?(あわてず、この順で)
1. そのパスワードを今すぐ変更。同じものを使い回している他のサービスも、全部変える
2. そのアカウントの2段階認証をオンにする
3. カード絡みなら、明細を確認し、不審があればカード会社に連絡→再発行

最後に、ひとつ注意。
チェックするとき、パスワードそのものを入力させるサイトには気をつけてください。まっとうな確認サービスは、基本「メアド」だけで調べられます。”無料セキュリティ診断”をうたう偽サイトもあるので、使うのは名の知れた公式だけに。情報を守るための確認で、逆に情報を抜かれては本末転倒ですからね。

④ 「漏れた情報で狙われる」前提で、落ち着いて対応する

一度漏れた情報は、あなたを狙う連絡に使われることがあります。
「カード会社です、至急確認を」といった電話やメッセージが来ても、その場でリンクを踏まない・かけ直さない。公式アプリや、カード裏の正規番号から自分で確認する。これだけで、二次被害の多くは防げます。

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ブラインド越しの光が作る縞模様の影が一か所だけ途切れ、光が漏れている抽象イメージ(守りのすき間=情報漏れの象徴)

自分が”漏らす側”にならないために(シャドーAIの話)

ここまでは「守る」話。でも、この記事でもう一つ伝えたいのが、自分が漏らす側にならないこと。②で触れたシャドーAI、あれは他人事じゃないんですよね。

やることは、シンプルです。会社の情報を、会社が許可していないAIに入れない。 顧客の名前、社外秘の数字、取引先とのやり取り——こういったものを、個人の判断で外部のAIに貼らない。「ちょっと要約したいだけ」でも、です。

とはいえ「じゃあ何なら入れていいの?」が難しいですよね。その線引きは、別記事にまとめてあります。

便利さと引き換えに、うっかり加害者にならない。守りと同じくらい、ここも大事です。

調べてみて、私がいちばんヒヤッとしたこと

正直に言うと、今回いろいろ調べていて、いちばんドキッとしたのは「攻撃こわい」より、自分も”漏らす側”になりうるという点でした。

ブログの仕事柄、私はAIに文章を要約させたり、下書きを整えさせたりを、しょっちゅうやります。幸い、個人情報や機密は入れない習慣がついていました(このブログで何度も書いてきたので)。でも、もし習慣がなかったら?——「便利だから」で、気づかず危ない橋を渡っていたかもしれない。そう思うと、ゾッとしました。

まとめ:こわがるより、1つ動く

長くなったので、要点を。

企業からの情報流出が増えているのは事実。でも、その入口の多くは昔ながらの不正アクセスで、「AIが全部盗んでいる」わけではありません。ただAIは、攻撃を”速く・安く・自動”にして件数とスピードを押し上げ、さらにシャドーAIという新しい漏れ道も生んだ。この二面で、確かに関わっています。

そして大事なこと——個人にできることは、ちゃんとあります。

  • パスワードの使い回しをやめる(これが一番効く)
  • 大事なアカウントから2段階認証を入れる
  • 自分の情報が漏れていないか確認する
  • 会社の情報を、許可のないAIに入れない

全部を今日やる必要はありません。今日からまず、1つだけ——いちばん効く「パスワードの使い回しを、ひとつやめる」から始めてみてください。こわいニュースに飲まれるより、小さく動くほうが、ずっと心が軽くなります。

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AIと個人情報・セキュリティの関連記事もどうぞ。

参考にした主な情報:CrowdStrike「Global Threat Report(2025)」(侵入後の横展開にかかる時間=平均29分・最短27秒)/生成AIアプリを標的とする自己複製プロンプト「Morris II」に関する研究/各社のデータ侵害コスト調査(シャドーAIによる漏えいの割合・コスト)。数値・事例は公表時点のもので、最新は各公式をご確認ください。

ゆたろー

サービス・小売業の現場で10年以上働いてきた30代・非エンジニア。「AIは難しそう」という状態から独学で生成AIを使い込み、今はChatGPT・Claude・Geminiを日常業務で活用しています。プログラミング未経験ながら、AIと対話しながら店舗3Dレイアウトツール・日本語入力支援のChrome拡張・このブログの運営システムまで自作。「非エンジニアが実際に試して分かったこと」だけを、できるだけやさしく発信しています。

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